「悪口を言わない」聖書(ヤコブ4:11-12)

20200531
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11 兄弟たち、互いに悪口を言い合ってはいけません。自分の兄弟について悪口を言ったり、さばいたりする者は、律法について悪口を言い、律法をさばいているのです。もしあなたが律法をさばくなら、律法を行う者ではなく、さばく者です。
12 律法を定め、さばきを行う方はただひとりで、救うことも滅ぼすこともできる方です。隣人をさばくあなたは、いったい何者ですか。

聖書(ヤコブ4:11-12)

はじめに

アトランタ・ジャーナルに次のような文章が掲載されました。

「“私”には、致命的な打撃を加える力と技術がある。
私は相手を殺さなくても勝利できる。
家庭と教会と国家を破壊し、数多くの人生をも破壊する。
私は風の翼に乗って旅する者で、どんなにきよい人も私には無力である。
私は真理と正 義と愛を軽蔑し、全歴史と世界に私による犠牲者が存在する。
私は海の砂よりも多くの奴隸を率いている。
私は決して滅びず、赦すことがない。
私の名は、“中傷”である。」

私たちが思っている以上に、「私たちの言葉」には力があります。

落ち込んでいる時に、「大丈夫だよ。よくやってるよ」と言われたら、励まされますよね?
言葉は人を生かすこともできるし、逆に殺すこともできます。

2人の人がいれば、言葉で誰かを殺すことができると聞いたことがあります。
2人の人が、口裏を合わせて、嘘をついて、徹底的に1人の人の悪口をいうのです。

数日もたたないうちに、その人は衰弱して死ぬそうです。

この世の問題のほとんどが、言葉によるものだということです。

ニュースをつけても政治家は言葉を使います。
YouTuberは言葉で情報を発信します。
本も言葉を文字にしたものです。
職場のいじめも、ほとんどが、陰口、悪口、無視というのも言葉を発しないと、言葉の暴力であることは明らかです。

僕自身、この数年の間、噂話や陰口の影響力を身に染みて体験しました。
また、自分の口からでた言葉でいろいろな人を傷つけてきたと感じ、大いに反省しています。

神様に祈る中で、ガーデンチャーチで大切にしたい「聖書の文化」を語るように導かれました。
それが、今日のタイトル「悪口を言わない」です。

ここまで、言葉が人間にとって重要であるのにかかわらず、世の中に言葉についての教えはあまりありません。
だからこそ、私たちが聖書から、言葉の重要性を認め、悪口と正面から戦い、なぜ悪口はいけないのかという理由を学び、世の中に証ししていきましょう。

悪口を言っていけない

悪口については、旧約聖書も、イエス様も、パウロも、真っ向から禁じています。
その中でも、ヤコブ書は、「悪口」について多く割いています。

①聖書のいう悪口とは何か?

11 兄弟たち、互いに悪口を言い合ってはいけません。自分の兄弟について悪口を言ったり、さばいたりする者は、律法について悪口を言い、律法をさばいているのです。もしあなたが律法をさばくなら、律法を行う者ではなく、さばく者です。

聖書(ヤコブ4:11)

ギリシャ語で「カタラレオー」と言います。
陰口、中傷、悪口と訳されているます。

聖書に、三つの種類の悪口が出てくるので、見ていきます。

A.罵倒(その立場を低く見なす事で、相手の感情を損なう・人格の否定)

イエス様は、子供でもわかるもっともわかりやすい悪口の例をあげました。

しかし、わたしはあなたがたに言います。兄弟に対して怒る者は、だれでもさばきを受けなければなりません。兄弟に『ばか者』と言う者は最高法院でさばかれます。『愚か者』と言う者は火の燃えるゲヘナに投げ込まれます。

聖書(マタイ5:22)

ばかの意味をウィキペディアで調べました。

  1. 愚かなこと。
  2. 社会の常識に欠けていること。
  3. 知能が劣り愚かなこと。
  4. つまらないこと。無益なこと。
  5. 役に立たないこと。機能を果たさないこと。
  6. 理解力・判断力・知識などが人と比べて劣っていること。

つまり、相手を下に見ることです。

子供はこれらの言葉を日常的に使っています。
そのような子供は親も使っていました。

これが日本の現実です。

B.微妙な嘘

これは、私たちがよく使うテクニックです。
相手をもっと悪く見せるために、うそによって事実を歪めることがあります。

例えば、士師記19-21の出来事。

レビ人は家出をしたそばめ(第二夫人)を迎えに行ったが、夜遅くなったので、ギブアという町で一泊することになりました。
その間、ギブアのチンピラが、そばめに一晩中暴行し、殺します。

レビ人は、朝起きてそばめの死体を見つけると、何の感情も表さず遺体を12に切り分け,イスラエル中に送りつけます。

レビ人は自分の思い通りイスラエルの会衆を動かすため、嘘を巧みに混ぜ込んで事件を報告しました(20:4-7)。

例えば、実際に暴行したのは「よこしまな者たち」(19:22)であったのに、報告では「ギブアの者たち」(20:5)([ヘ]バアレー)という表現で、指導者たちがそれに加わったように言い、自分を殺そうとしたと言いました。

一方、自分がそばめを外に出したことには触れず、そばめがその場で死んだのか、その後十分な介抱をしなかったので死んだのかも明らかにしていません。

結果、ギブアの人々に怒ったイスラエルの11部族は戦争を布告し、ギブアのベニヤミン族はほぼ全滅しました。

何が原因だったのか?

レビ人の自分の都合でゆがめた微妙な嘘です。

私たちも誰かに報告する時、自分にとって都合の悪いことは言わないで、相手が悪いように微妙に誇張してりしがちですよね。

C.悪意ある事実

悪口を悪口にする1番の理由は、悪意です。
悪意がなければ、喧嘩してもすぐ謝れますし、忠告にもなります。

ダビデの息子、アブシャロムは反乱を企てた話を知っているでしょうか?
彼はいきなり戦争を仕向けたわけではありませんでした。

彼は、最初に人々に父ダビデの悪い噂を広めることから始めました。

3 アブサロムは彼に、「聞きなさい。あなたの訴えは良いし、正しい。だが、王の側にはあなたのことを聞いてくれる者はいない」と言っていた。
4 さらにアブサロムは、「だれか私をこの国のさばき人に立ててくれないだろうか。訴えや申し立てのある人がみな、私のところに来て、私がその訴えを正しくさばくのだが」と言っていた。
5 人が彼に近づいてひれ伏そうとすると、彼は手を伸ばし、その人を抱いて口づけしていた。
6 アブサロムは、さばきのために王のところにやって来る、すべてのイスラエルの人にこのようにした。アブサロムはイスラエルの人々の心を盗んだ。

聖書(2サムエル15:3-4)

ここでアブシャロムが言っていることの本質は、 ダビデが正義を行っておらず、自分のほうがずっと 良い働きをするだろう、ということです。
これが事実かどうかは、聖書には、書かれていません。
しかし、ダビデが民の不満を聞くため、組織的な機関を適所に配備していなかった可能性もあり、アブシャロムがダビデより上手くできた可能性もあります。

しかし、明らかなことは、 アブシャロムがダビデにとって悪い情報を広めたということです。
それは、ダビデを悪く思っていなかった人たちにも伝わり、不満が広がることになったのです。

悪口を聞いた人々は痛みを受け、その結果、無用な戦いで2万人が死ぬ結果となりました。

②なぜ、悪口はダメなのか?

なぜ、悪口はダメかと言うと、先ほどの例でもあったように、様々な問題を引き起こすからです。
言葉一つで、国が分裂し、人が死にます。

しかし、結果が悪いからダメなのではなく、聖書ははっきり理由を示しています。
それは「重要な律法違反」だかです。

11 兄弟たち、互いに悪口を言い合ってはいけません。自分の兄弟について悪口を言ったり、さばいたりする者は、律法について悪口を言い、律法をさばいているのです。もしあなたが律法をさばくなら、律法を行う者ではなく、さばく者です。

聖書(ヤコブ4:11)

人に悪口をいうことは律法をさばいている。
どういう意味でしょうか?

まず、悪口は律法が禁じる大きな罪です。

あなたは、民の中で人を中傷して回り、隣人のいのちを危険にさらすことがあってはならない。わたしは主である。

聖書(レビ記19:16)

そして、律法は、悪いことをする他人に対しても愛しなさいと言っています。

あなたは復讐してはならない。あなたの民の人々に恨みを抱いてはならない。あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。わたしは主である。

聖書(レビ記19:18)

これは、神の命令なので、私たちが、「いやいや、神様、無理っしょ」とか「とはいっても、あいつ死ね!」といってしまったら、私たちは神に対する罪を犯すことになるのです。

12 律法を定め、さばきを行う方はただひとりで、救うことも滅ぼすこともできる方です。隣人をさばくあなたは、いったい何者ですか。
つまり、人の悪口をいい、裁くことは、神への挑戦だということです。

聖書(ヤコブ4:12)

ヤコブ書を書いたヤコブもユダヤ人ですが、彼らはなぜ神様が悪口を禁じているかという根拠を創世記に見ています。

神は人をご自身のかたちとして創造された。神のかたちとして人を創造し、男と女に彼らを創造された。

聖書(創世記 1:27)

「神のかたちに似せて造られた人間に対する悪口は、神を冒涜することだから」

ある研究によると、人の悪口を言うと自分が傷つくのだそうです。
これは、「脳はを理解できない」という性質があるためです。
「○○さんは最低!」という言葉を発したら、それは、「私は最低!」と言っているのと脳は錯覚するのです。

悪口を言われた人だけではなく、悪口を言った人も、神のかたちに相応しくないことをすれば傷つくようにできているのです。

③どうすれば悪口をしないようにできるのか?

大前提として聖書は私たちが悪口を言わないことは非常に難しいといっています。

なぜなら、それは心から出るからです。

心に満ちていることを口が話すのです。

聖書(マタイ12:34)

しかし、誰かの言動で、怒らない人、傷つかない人、悲しまない人はいるでしょうか?
いません。

そんな人はロボットであって、人間ではありません。

特に、誰かから悪口を言われた時。
腹が立つことを聞いた時。

実践的な3つのことを覚えましょう。

悪口を言いたくなったとき

A.神にすべて吐き出す

詩篇を読むと、ダビデのとんでもない祈りが書いています。

1-2 権力をふるう高慢なおまえたち政治家に、
正義ということばの意味がわかるのか。
おまえたちのうち、
公平のかけらでも持ち合わせている者がいるのか。
おまえたちの取り引きは不正だらけで、
わいろと引き替えに「正義」を売り渡している。
3 こんな者たちは生まれながらの罪人で、
最初に覚えたのがうそをつくことなのです。
4-5 彼らは毒蛇のように口に毒を含み、
熟練した蛇使いの声にさえ耳をふさぐ蛇のようです。
6 ああ神よ、彼らの牙を折り、
若いライオンの歯のようなその歯を
引き抜いてください。
7 乾ききった地に吸い込まれる水のように、
影も形もなくしてください。
彼らの手の武器を、へし折ってください。
8 塩をかけられて溶けるなめくじのように、
日の光を知らない死産の子のようにしてください。
9 神は、老いも若きもいっしょに掃き捨て、あっという間に滅ぼされます。

聖書(詩篇58(リビングバイブル訳))

どんな印象を受けましたか?
実際、ダビデは悪口言いまくり、裁きまくりです。

しかし、彼は人にではなく、神に祈りました。
これが、私たちが学ぶべき姿勢です。

ダビデは、審判者である神に裁きや復讐を委ねました。
神様はダビデの悪口を捌きませんでした。

10 神を敬う人は、ついには正義が勝つのを見て喜び、
殺された悪者どもの血のしたたる野原を歩きます。
11 こうして、地上には公平にさばく神がおられ、
善人に必ず報いてくださることが、
だれの目にも明らかになるのです。

聖書(詩篇58(リビングバイブル訳))

なぜなら、彼は人ではなく、神様に吐き出したからです。
そして、彼は謙遜な思いでそれをしたからです。

6 何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。
7 そうすれば、すべての理解を超えた神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます。

聖書(ピリピ4:6)

B.本人に忠告する

神様に祈っても、悶々とするなら、一対一で話しましょう。

愛を持って忠告することは悪口ではありません。
マタイには、誰かが自分に罪を犯した場合の対処法が書いていますが、これは忠告にも応用できます。

15 また、もしあなたの兄弟があなたに対して罪を犯したなら、行って二人だけのところで指摘しなさい。その人があなたの言うことを聞き入れるなら、あなたは自分の兄弟を得たことになります。

聖書(マタイ18:15-17)

一対一で話してもラチが開かない時。
一対一で話すことが難しい時。

そんな時、誰でもいいというわけではありません。

C.教会の指導者に相談する

教会の牧師などのリーダーに相談するべきです。

16 もし聞き入れないなら、ほかに一人か二人、一緒に連れて行きなさい。二人または三人の証人の証言によって、すべてのことが立証されるようにするためです。
17 それでもなお、言うことを聞き入れないなら、教会に伝えなさい。教会の言うことさえも聞き入れないなら、彼を異邦人か取税人のように扱いなさい。

聖書(マタイ18:15-17)

ちなみに、なぜ、教会の指導者なのか?という理由は、彼らには「言葉に対する」重い責任があるからです。

1 私の兄弟たち、多くの人が教師になってはいけません。あなたがたが知っているように、私たち教師は、より厳しいさばきを受けます。
2 私たちはみな、多くの点で過ちを犯すからです。もし、ことばで過ちを犯さない人がいたら、その人はからだ全体も制御できる完全な人です。

聖書(ヤコブ 3:1-2)

終わりに

①聖書のいう悪口とは何か?

  • A.罵倒 聖書(マタイ5:22)
  • B.微妙な嘘 聖書(士師記19-21)
  • C.悪意ある事実 聖書(2サムエル15:3-4)

②なぜ、悪口はダメなのか? 聖書(ヤコブ4:11-12)

③どうすれば悪口をしないようにできるのか?

  • A.神にすべて吐き出す 聖書(ピリピ4:6-7)
  • B.本人に忠告する 聖書(マタイ18:15)
  • C.教会の指導者に相談する 聖書(マタイ18:16-17)
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この記事を書いた人

牧師。ライフコーチ。
1985年札幌で生まれる。小樽商科大学を卒業後、三菱UFJ信託銀行で3年間勤務。関西聖書学院(KBI)で1年間聖書を学ぶ。CCC(Campus Crusade for Christ)短期宣教を通じて出会った、当時CCC専任スタッフのク・ソンリムと2012年に結婚。2013年から3年間ソウル・オリュン教会日本語礼拝部伝道師として仕えつつ、トーチ・トリニティ神学大学院英語コース修士課程(Torch Trinity Graduate University/Master of Divinity)を修める。2016年から3年間、母教会札幌キリスト福音館で牧師として仕えた後、2019年より、札幌ガーデンチャーチを開拓。

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