エステル記から読み解く「君たちはどう生きるか」⑧「あなたがここにいる意味がある」聖書(エステル記 4:1-17)

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1 モルデカイは、なされたすべてのことを知った。モルデカイは衣を引き裂き、粗布をまとい、灰をかぶり、大声で激しくわめき叫びながら都の真ん中に出て行った。
2 そして王の門の前のところまで来た。王の門の中には、粗布をまとったままでは入ることができなかったのである。
3 王の命令とその法令が届いたどの州においても、ユダヤ人の間には大きな悲しみがあり、断食と泣き声と嘆きが起こり、多くの人たちは粗布をまとって灰の上に座った。
4 エステルの侍女たちとその宦官たちが入って来て、彼女にこのことを告げたので、王妃は非常に痛み苦しんだ。彼女はモルデカイに衣服を送り、それを着せて、粗布を脱がせようとしたが、彼はそれを受け取らなかった。
5 エステルは、王の宦官の一人で、王が彼女に仕えさせるために任命していたハタクを呼び寄せ、モルデカイのところへ行って、これはどういうわけか、また何のためかと聞いて来るように命じた。
6 ハタクは王の門の前の、町の広場にいるモルデカイのところに出て行った。
7 モルデカイは自分の身に起こったことをすべて彼に告げ、ハマンがユダヤ人を滅ぼすために王の宝物庫に納めると約束した、正確な金額も告げた。
8 また、ユダヤ人を根絶やしにするためにスサで発布された法令の文書の写しを彼に渡した。それは、エステルに見せて事情を知らせ、そして彼女が王のところに行って、自分の民族のために王からのあわれみを乞い求めるように、彼女に命じるためであった。
9 ハタクは帰って来て、モルデカイの伝言をエステルに告げた。
10 エステルはハタクに命じて、モルデカイにこう伝えた。
11 「王の家臣たちも王の諸州の民も、だれでも知っているように、召されないのに奥の中庭に入って王のところに行く者は、男でも女でも死刑に処せられるという法令があります。ただし、王がその人に金の笏を差し伸ばせば、その人は生きながらえます。私はこの三十日間、まだ王のところへ行くようにと召されていません。」
12 彼がエステルのことばをモルデカイに告げると、
13 モルデカイはエステルに返事を送って言った。「あなたは、すべてのユダヤ人から離れて王宮にいるので助かるだろう、と考えてはいけない。
14 もし、あなたがこのようなときに沈黙を守るなら、別のところから助けと救いがユダヤ人のために起こるだろう。しかし、あなたも、あなたの父の家も滅びるだろう。あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、このような時のためかもしれない。」
15 エステルはモルデカイに返事を送って言った。
16 「行って、スサにいるユダヤ人をみな集め、私のために断食してください。三日三晩、食べたり飲んだりしないようにしてください。私も私の侍女たちも、同じように断食します。そのようにしたうえで、法令に背くことですが、私は王のところへ参ります。私は、死ななければならないのでしたら死にます。」
17 モルデカイは出て行って、エステルが彼に頼んだとおりにした。

聖書(エステル記4:1-17)

はじめに

ある調査によると「運命を信じる」と答えた人の割合は、2020年で64.9%でした。

皆さんは運命を信じていますか?

今のあなたの人生は運命によるものなのか?
それとも、選択の結果なのか?

運命を信じず、選択の結果、今の自分があると考える人でも、生まれる国籍や親は選べません。

いずれにせよ、今のあなたの人生に何の意味があるのか?という問いには、どちらであっても答えることができません。

今日の箇所は、エステルの人生に見えない神さまの導きがあることを教えています。
運命でも、彼女の選択でもなく、神の摂理です。

今日は「あなたがここにいる意味がある」というタイトルで3つのポイントから学んで行きたいと思います。

エステルに与えられた使命

4章は少し長かったので、少し簡単に要約します。
4章はユダヤ人皆殺しの法令が王の印で発布され、国中のユダヤ人がパニックに陥るシーンから始まります。
そこで、ペルシャの王女になったユダヤ人エステルにフォーカスがあたります。

ここからわかる三つのポイントは、

①決断の時に備えよ

私たちの人生には様々な「時」があります。

上昇の時。何をしてもうまく行く。将来対しポジティブな思いで満ちあふれている時。
下降の時。何をしてもうまく行かない。将来が暗く何も見えなくなるとき。
良くもなく悪くもない、平穏な時。退屈な時。
他にも試練の時、
忍耐の時。

そして、忘れてはいけないのが、今回のエステルのように人生には決断の時が必ずやって来ると言う事。

決断する時に最も大切なことは、その時が来るまでにどのように過ごしていたかです。

エステルは、小さい時に両親をなくし、異国での生活は決して簡単なものではありませんでした。
寂しい思いもし、たくさん傷ついたでしょう。
しかし、その中でも、エステルはおじモルデカイへの従順を通して、人格と言う内面の美しさを磨いて行ったのです。

でも、その従順さはまだ成熟していませんでした。
なぜなら、エステルはモルデカイの命令、助言に対していつも「はい」と言っていました。

何も考えていなかったかもしれません。自分を殺していたかもしれません。

しかし、神さまはエステルを次のステップへ進ませました。

今回の箇所のエステルの決断は2択。
ユダヤ人大虐殺をペルシャ王国の王妃として見過ごすか、同じユダヤ人として彼らを助けるためにその権利を使うか。

今エステルは天下のペルシャ王国の王妃となった。すべてが与えられた。最高の人生。

その人生を神様に従順するために、死を覚悟して手放す決意はあるか?

また、ユダヤ人を助けることは、すでに王の印が押された法令に逆らう犯罪行為に当たる。
死刑にされる危険をおかしてまで、する必要があるのか。

しかも、今の状況を見るとエステルにそのような権力はありません。

11 「王の家臣たちも王の諸州の民も、だれでも知っているように、召されないのに奥の中庭に入って王のところに行く者は、男でも女でも死刑に処せられるという法令があります。ただし、王がその人に金の笏を差し伸ばせば、その人は生きながらえます。私はこの三十日間、まだ王のところへ行くようにと召されていません。」

聖書(エステル記4:11)

実は、エステルが王妃に選ばれた時から時間が経っており、以前とは状況が違います。
もしかすると、エステルはもうすでに夫である王様に飽きられていたのかもしれません。

つまり、決断するときに、全ての準備が整っていて、簡単に決断できるようになる問い訳ではありません。

危険やリスクがある中で、決断を迫られる時がくるのです。

今、思うのが、決断して正解だったということです。

しかし、全ての決断が必ず良い結果につながる訳ではありません。
僕がしてきた大きな決断が祝福されたのは、これらが神様から来ていたいからです。

②神の計画に信頼せよ

決断の時。その背後には神さまが与えられた計画があることを忘れてはいけません。
逆を言えば、神の計画のない、決断は無駄になるところか、不利益をもたらすことにもなります。

世の中で、多くの人が「あんなことしなければよかった」と後悔しているのも事実だからです。

エステルで言えば、ペルシャの王女に奇跡的になったことは、神の計画でした。
それは、エステルがお金もちになり、好きなものは何でも手に入り、美味しいものを食べ、天下のペルシャ王国の王の妻として栄光と尊厳で満たされるためではありません。

エステルが王女になった後、同胞のユダヤ人が虐殺される法令が出されました。

いったい何のためでしょうか?
これは偶然でしょうか?

いいえ、神の計画の中で起こっていることです。

しかし、神の計画は計画で終わることはありません。

計画を実行する時がきます。それが決断の時なのです。

モルデカイはエステルに決断を迫ります。

13 モルデカイはエステルに返事を送って言った。「あなたは、すべてのユダヤ人から離れて王宮にいるので助かるだろう、と考えてはいけない。
14 もし、あなたがこのようなときに沈黙を守るなら、別のところから助けと救いがユダヤ人のために起こるだろう。しかし、あなたも、あなたの父の家も滅びるだろう。あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、このような時のためかもしれない。」

聖書(エステル記4:13-14)

「あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない」

エステルがユダヤ人としてペルシャで生まれたことも。
ペルシャで王女になったことも、大虐殺からユダヤ人を救うためだったかもしれない。

エステルだけにではなく、ひとりひとりに神の計画があると聖書は語っています。

わたし自身、あなたがたのために立てている計画をよく知っている──主のことば──。それはわざわいではなく平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ。

聖書(エレミヤ書29:11)

私たちが経済的にも満たされ、素晴らしい人と結婚し、平安を得るという計画ではありません。
それは人間中心の見方です。

しかし、神が与える平安の計画とは、イエスさまの十字架による罪の赦しと聖霊による永遠に続く平安。
神との罪により壊れていた関係が回復し、いつもイエスさまと親しく交わり、ともに歩む平安。

そして、その計画は自分だけではなく、今度は私たちを通して、周りの人々がその本当の平安を与える計画なのです。

あなたの人生はどうでしょう?
なぜ、今ここにいますか?

なぜ、クリスチャンになり、礼拝に参加していますか?
あなたが、ここにいる意味があります。
神様はあなたに計画を持っているのです。

あなた自身の問題にばかり目を奪われないでください。
あなたを通して解決されるべき問題がこの世界にはたくさんある。
神様は、あなたを通してあなたの家庭が変革され、職場が変えられ、学校が変えられることを望んでいる。

人々があなたを通して輝くイエスキリストを見るならば、
人々がイエスさまを受け入れるならば、

人は変わるでしょう。社会は変わるでしょう。

神があなたのために持っている計画とは、神の栄光のために、神の方法で、神のタイミングで行われ、人々に本当の平安と、将来と、希望を与える計画なのです。

③神の見えない御手に従順せよ

モルデカイのことばはエステルの心を揺さぶりました。
「あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない」

最初は状況にコントロールされていました。
この状況を見てください。無理でしょう。
否定的な態度でモルデカイの提案を拒否しました。

しかし、エステルは決断します。

15 エステルはモルデカイに返事を送って言った。
16 「行って、スサにいるユダヤ人をみな集め、私のために断食してください。三日三晩、食べたり飲んだりしないようにしてください。私も私の侍女たちも、同じように断食します。そのようにしたうえで、法令に背くことですが、私は王のところへ参ります。私は、死ななければならないのでしたら死にます。」
17 モルデカイは出て行って、エステルが彼に頼んだとおりにした。

聖書(エステル記4:15-17)

今までは、モルデカイの命令に従っていたエステルが、ここでは、逆にモルデカイに命令しています。

エステルの決断は簡単なものだったでしょうか?
エステル記は聖書66巻の中で神の名が出てこない唯一の書です。
神さまがこう言われた、こうされたなどの記述は一切出てきません。

このままだと自分の民族がが皆殺しにされるという状況の中で、王妃である自分の命も危うい状況の中で、

「本当に神さまはいるのだろうか?」「私を助けてくれるのだろうか?」「神さまの約束は本当に果たされるのだろうか」

そう思っても不思議ではありません。

アブラハム、モーセ、
ダビデはみな
偉大なリーダーで、神の声を直接聞きました。
特にモーセは、紅海をわけ、奇跡とともにエジプトからユダヤ人を救い出しました。

しかし、エステル記は「神さま」の痕跡がまったくないのです。

14節~15節の間には長い沈黙があったでしょう。

祈ったでしょう。考えたと思います。

「自分は何のために生まれて来たのか」「なぜ、ペルシャの姫としてここにいるのか」

そして、彼女は死ぬ気で決断するのです。
「私がここにいるのはこの時のためかもしれない」

ここでエステルが決断しなかったらどうなったのでしょうか?

私たちには神の計画に従わない自由があります。
私たちはロボットではありません。
神様も無理やり私たちをご自身の計画に従わせることはしません。

じゃあ、神様の計画はどのように実行されるのか?

エステル以外の他の人が代わりに用いられます。

14 もし、あなたがこのようなときに沈黙を守るなら、別のところから助けと救いがユダヤ人のために起こるだろう。しかし、あなたも、あなたの父の家も滅びるだろう。あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、このような時のためかもしれない。」

聖書(エステル記4:14)

日本のリバイバルを本気で信じていますか?

決断が必要です。

日本のリバイバルが起きた時に、ガーデンチャーチが用いられる時に、そのリバイバルの波を遠くから見る人になるのか、その波に乗っているのか、それはあなたの決断です。

プレッシャーを感じる必要はありません。

計画を成就される、神を信じればいいのです。

あなたが全てを成し遂げるための決断ではないのです。

神に信頼する決断です。神があなたを用いられるために、自分を差し出す決断なのです。

終わりに

もう一度、3つのポイントを復習しましょう。

  • ①決断の時に備えよ
    あなたは将来の決断の時に備えているでしょうか?よく訓練されていますか?祈っていますか?
  • ②神の計画に信頼せよ
    神さまがあなたに持っている計画に信頼していますか?それはあなただけのためではなく、周りの人々にも平安と希望を与える計画であるということを信じていますか?
  • ③神の見えない御手に従順せよ
    いつでも神さまの見えない御手に従順する決断はできていますか?

なぜ、あなたはここにいるのか。
神さまがそれを知っています。
お祈りしましょう。

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この記事を書いた人

牧師。ライフコーチ。
1985年札幌で生まれる。小樽商科大学を卒業後、三菱UFJ信託銀行で3年間勤務。関西聖書学院(KBI)で1年間聖書を学ぶ。CCC(Campus Crusade for Christ)短期宣教を通じて出会った、当時CCC専任スタッフのク・ソンリムと2012年に結婚。2013年から3年間ソウル・オリュン教会日本語礼拝部伝道師として仕えつつ、トーチ・トリニティ神学大学院英語コース修士課程(Torch Trinity Graduate University/Master of Divinity)を修める。2016年から3年間、母教会札幌キリスト福音館で牧師として仕えた後、2019年より、札幌ガーデンチャーチを開拓。

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