【聖書の終末預言49】 千年王国とは何か? 「分かれる3つの説 」(黙示録20:4-6)

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はじめに

今日は、「千年王国」について説明します。

クリスチャンなら「千年王国」という言葉を一度は耳にされたことがあるかもしれません。
言葉から意味を推測するなら、千年間、イエス・キリストが治める神の国のことです。

「てことは、1000年間、イエス・キリストの王国が地上にもたらされるということ?」と思うかもしれません。
しかし、実は、この「千年王国」の理解は、歴史を通して意見が分かれてきました。

「イエス・キリストが治める神の国が治める」という「王国」についてはほぼ一致していますが、論点は「1000年」の部分です。

例えば、1000年は、本当に1000年間か。
それとも、1000年というのは比喩である一定の期間を表している、とか。

千年王国は、目に見える私たちの住む地上で建てられるか。
それとも、これは霊的な世界を表している、とか。

簡単に言えば、文字通り解釈するか、象徴的に解釈するかで、クリスチャンや教会、神学者たちの間で意見が分かれてきたのです。

この動画を見ると、歴史を通してクリスチャンの間で、3つに分かれている千年王国の解釈を知ることができます。
その全体像がわかると、千年王国って何なのかについて、少し輪郭が見えてきて、理解がグッと深まります。

最近は、聖書の終末預言シリーズという世の終わりについて聖書が何を言っているかだけにフォーカスを当てたYouTube動画をアップしています。「この世はこれからどうなるのか?」ということに対して少しでも興味のある方は、チャンネル登録をよろしくお願いします。

千年王国とは何か?

 →クリスチャンの間で、3つの千年王国論があります。 

  • A. 千年期前再臨説
  • B. 千年期後再臨説
  • C. 無千年王国説

まず、名前が漢字ばかりで難しいですね。
詳しく説明するので大丈夫です。

三つの説の違いは、「千年王国がいつ設立されるのか?」というところにあります。
これは、千年王国を字義通りの王国とするか、象徴的な王国とするかによって、分かれてきます。

では、それぞれ解説していきます。

A. 千年期前再臨説

 →メシア(イエス・キリスト)の再臨があって、地上に千年王国が設立される。 

それぞれ、わかりやすいように5つの項目で特徴を書きます。

①現在か未来(現在に起きていることか未来に起こることか?)

→未来

キリストが再臨されるまで、千年王国は存在しません。

②地上か霊的(地上の王国か霊的な王国か?)

→地上

私たちが今、日本国で暮らしているように、現実の中で暮らせる国、それが千年王国です。
私たちが持っている天国のイメージとは明らかに違います。
これは、神の国に対してどのようなイメージを持っているかにも影響されます。
正直ほとんどのクリスチャンが「神の国」ってぼんやりしたイメージだと思うので、今後取り上げます。

③字義か象徴(字義通りの年数か?象徴か?)

→字義

カレンダー通り1000年です。365日が1000年あります。
現在の寿命が80歳くらいなので、結構長い期間です。

④サタンはどうなる?

→閉じ込められる

サタンの働きはかなり制限されます。
サタンの誘惑はなくなります。

しかし、罪と死については激減しますが完全に消えるわけではありません。

⑤死者の復活はどうなる?

→第一の復活と第二の復活がある。

4 また私は多くの座を見た。それらの上に座っている者たちがいて、彼らにはさばきを行う権威が与えられた。また私は、イエスの証しと神のことばのゆえに首をはねられた人々のたましいを見た。彼らは獣もその像も拝まず、額にも手にも獣の刻印を受けていなかった。彼らは生き返って、キリストとともに千年の間、王として治めた。
5 残りの死者は、千年が終わるまでは生き返らなかった。これが第一の復活である。

聖書(黙示録20:4-5)

つまり、死者は、千年王国の前後に二回、時間差で、復活するということです。
これについては、次回以降の動画で取り上げます。

【主な根拠】

A. 千年期前再臨説を信じる人の根拠は、大きく二つあります。

①聖書にある神の統治は、現代と永遠の状態では起こるように見えないから。

目に見える形でこの地(罪と反逆はある)に実現することを表す聖句の代表としてイザヤ 65:18-20があります。

18 だから、わたしが創造するものを、いついつまでも楽しみ喜べ。見よ。わたしはエルサレムを創造して喜びとし、その民を楽しみとする。
19 わたしはエルサレムを喜び、わたしの民を楽しむ。そこではもう、泣き声も叫び声も聞かれない。
20 そこにはもう、数日しか生きない乳飲み子も、寿命を全うしない老人もいない。百歳で死ぬ者は若かったとされ、百歳にならないで死ぬ者は、のろわれた者とされる。

聖書(イザヤ65:18-20)

その他の参照箇所→イザヤ11:6–11、 詩篇72:8–14、ゼカリヤ14:5–17、黙示録2:26–27など。

他にも黙示録20のサタンの縛りは、現代の状況では考えにくい。
また、ルカ19:17に出てくる将来の報酬の例えも、未来の千年王国のように思えるという理由があります。

主人は彼に言った。『よくやった。良いしもべだ。おまえはほんの小さなことにも忠実だったから、十の町を支配する者になりなさい。』

聖書(ルカ19:17)

なので、これは未来に起こることであり、とても現実的な描写であるので象徴的で霊的な世界ではないということです。

②イスラエルに対する契約の中にはまだ成就していない約束があるから。

神がイスラエルとの間には、4つの無条件契約があり、これらは、千年王国という枠組みの中で成就するように考えられる。

  1. アブラハム契約(創世記12:1-3)
  2. パレスチナ契約/モアブ契約/土地の契約(申命記30:1-10)
  3. ダビデ契約(ルカ1:32-33)
  4. 新しい契約(エレミヤ31:31-34)

聖書には8つの重要な契約が出てきますが、中でもこの4つの契約は「千年王国に成就する契約だと思われる」と覚えておけば大丈夫です。

今日はその中でもアブラハム契約について、少し取り上げます。

創世記には神様が、アブラハム、その息子イサク・孫のヤコブに対して契約(約束)をされました。
アブラハムへの約束が引き継がれているイメージです。

  • アブラハム(創世記13:15)
  • イサク(創世記26:3)
  • ヤコブ(創世記28:13)

なぜ、引き継がれているのか?
アブラハムだけではなく、「子孫」にもその土地を与えると書いてあるからです。

わたしは、あなたが見渡しているこの地をすべて、あなたに、そしてあなたの子孫に永久に与えるからだ。

聖書(創世記13:15)

言葉に注目してください。
まず、「永久」つまり永遠に与えると言っています。

神様が彼らに与えることを約束した土地は創世記15:18によれば、イスラエルの土地であることがわかります。

その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。「あなたの子孫に、わたしはこの地を与える。エジプトの川から、あの大河ユーフラテス川まで。

聖書(創世記15:18)

しかし、聖書を見ると、当時アブラハム、イサク、ヤコブは、この土地 を所有することのないまま死んでいます。
そのため、この契約が成就するには、彼らの復活が不可欠です。

つまり、神は約束を破ったのではなく、将来、千年王国で、復活した彼らに対して、約束を果たされるということです。
このことは、イエス。キリストが、彼らを「生きている者」だと言っていることにつながります。

『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。』神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神です。」

聖書(マタイ22:32)

【その他のポイント】

→千年期前再臨説を信じる人たちの中でも、「携挙」についても三つに意見がわかれている。

  • A. 患難期前携挙説 (pre-tribulationism)
  • B. 患難期中携挙説 (mid-tribulationism)
  • C. 患難期後携挙説 (post-tribulationism)

千年王国の解釈が三つに分かれている上に、携挙についても三つに分かれているのです。だから、終末論はややこしい、難しいと思う原因です。

携挙のそれぞれの説については、こちらの動画をご覧ください。
【聖書の終末預言】⑪携挙「世の終わりに取り残されるって本当?」聖書(1 テサロニケ 4:16-17)

B. 千年期後再臨説

 →千年王国(神の国)が成就した後に、メシア(イエス・キリスト)は再臨される。 

①の逆です。

①現在か未来(現在に起きていることか未来に起こることか?)

→現在

ほとんどの場合、現在が千年王国です(キリストの復活から再臨まで)。
この間、全世界に福音が宣べ伝えられてきます。
その結果、この世はますます良くなってきて、全世界がいずれはキリスト教化され、キリストが戻ってこられるというのです。

②地上か霊的(地上の王国か霊的な王国か?)

→霊的

神の国とは、キリストが天から信者の心を支配しておられる状態のこと。
つまり、霊的な神の国は、今の時代の教会からなっている。

③字義か象徴(字義通りの年数か?象徴か?)

→象徴

「千年」というのは、単に「長い期間」と解釈します。

④サタンはどうなる?

→制限されているが活動している。

サタンを縛ると言うのは、サタンが全く何もできなくなるわけではない。

⑤死者の復活はどうなる?

→再臨時に起こる

再臨と死者の復活、最後の審判は同時に起こる。

29 そうした苦難の日々の後、ただちに太陽は暗くなり、月は光を放たなくなり、星は天から落ち、天のもろもろの力は揺り動かされます。
30 そのとき、人の子のしるしが天に現れます。そのとき、地のすべての部族は胸をたたいて悲しみ、人の子が天の雲のうちに、偉大な力と栄光とともに来るのを見るのです。
31 人の子は大きなラッパの響きとともに御使いたちを遣わします。すると御使いたちは、天の果てから果てまで四方から、人の子が選んだ者たちを集めます。

聖書(マタイ24:29-31)

【主な根拠】

B. 千年期後再臨説を信じる人たちの主な根拠は、神の国の理解と、大宣教命令の二つです。

①神の国は一度に完成するのではなく、徐々に拡大していくから

31 イエスはまた、別のたとえを彼らに示して言われた。「天の御国はからし種に似ています。人はそれを取って畑に蒔きます。
32 どんな種よりも小さいのですが、生長すると、どの野菜よりも大きくなって木となり、空の鳥が来て、その枝に巣を作るようになります。」
33 イエスはまた、別のたとえを彼らに話された。「天の御国はパン種に似ています。女の人がそれを取って三サトンの小麦粉の中に混ぜると、全体がふくらみます。」

聖書(マタイ13:31-33)

神の国が千年王国だと考えるので、今が千年王国であるという解釈です。

②大宣教命令により神の勝利がもたらされているから

神から生まれた者はみな、世に勝つからです。私たちの信仰、これこそ、世に打ち勝った勝利です。

聖書(1ヨハネ5:4)

神の勝利は霊的であり、物質的なものではないのです。
富や所有物をたくさん得ることが神の国ではなく、この世の文化を支配していくことが大宣教命令であると考えられています。

現代は、宣教の時代ですが、同時に迫害、不法、悪の時代でもある。

1 終わりの日には困難な時代が来ることを、承知していなさい。
2 そのときに人々は、自分だけを愛し、金銭を愛し、大言壮語し、高ぶり、神を冒瀆し、両親に従わず、恩知らずで、汚れた者になります。

聖書(2テモテ3:1-2)

なぜ、迫害、不法、悪があるのでしょうか?

それは、サタンが動いているからです。
え、縛られているのに?と思うかもしれませんが、この説では、ルカ10:18でイエスさまはサタンを縛っていると解釈します。

イエスは彼らに言われた。「サタンが稲妻のように天から落ちるのを、わたしは見ました。

聖書(ルカ10:18)

初代教会においても、サタンは無力ではありませんでした。
つまり現代においては苦しみと迫害は少なからずあるということです。

キリスト・イエスにあって敬虔に生きようと願う者はみな、迫害を受けます。

聖書(2テモテ3:12)

しかし、この説では、サタンは大宣教命令を阻止することはできず、神の国が宣教により拡大し続け、完成したときにキリストが来られるというイメージです。
人間の努力にも焦点が当てられています。

C. 無千年王国説

 →地上に文字通りの千年王国(神の国)は出現しない 

特徴は、ほぼ、B. 千年期後再臨説と同じです。

①現在か未来(現在に起きていることか未来に起こることか?)

→現在

今が霊的な神の国。それが千年王国です。
キリストの再臨とともに、すぐに永遠の状態へ(新天新地)が始まる。

②地上か霊的(地上の王国か霊的な王国か?)

→霊的

神の国とは、キリストが天から信者の心を支配しておられる状態のこと。
つまり、霊的な神の国は、今の時代の教会からなっている。

③字義か象徴(字義通りの年数か?象徴か?)

→象徴

「千年」というのは、単に「長い期間」と解釈します。

④サタンはどうなる?

→制限されているが活動している。

サタンを縛ると言うのは、サタンが全く何もできなくなるわけではない。

⑤死者の復活はどうなる?

→再臨時に起こる

再臨と死者の復活、最後の審判は同時に起こる。

ほぼ、B. 千年期後再臨説と同じですが、違いは、現実社会への影響力の大きさの違いです。

B. 千年期後再臨説は、より大きな影響を文化にもたらす。信者は社会に影響を与え、キリストにあって支配していきます。
この支配という言葉は、私たちによってあまりいい意味に聞こえませんが、影響を与えるという意味では、聖書にも出てくるイメージです。

逆に、私たちはサタンや、罪の文化に支配され、影響されてしまうという弱さがあります。
また、聖霊に支配されることが、クリスチャンにとって重要であるため、神の支配がこの世に及ぶというのは、神が正しく治めるという点においては正常です。

創世記でも、この世を人間が「支配せよ」という神の命令があります。
ただ、人間が罪で堕落し、人間同士で支配しあうという悲惨な結果から、支配という言葉にネガティブなイメージがついたと思われます。

B. 千年期後再臨説では、全世界に福音が宣べ伝えられて、この世はますます良くなってきて、全世界がいずれはキリスト教化され、キリストが戻ってこられるというイメージです。
C. 無千年王国説では、この世では、文字通りの完全な神の国が訪れるわけではなく、社会が変革するというよりは、信者の心に神に国が到来しているイメージです。

お気づきの方も多いと思いますが、私は、字義通りに解釈した結果、A. 千年期前再臨説に立って黙示録を解釈しています。
ただし、三つの説の説明を聞いて、「それ、わかる」と納得された部分もあったのではないでしょうか?

聖書には、霊的なメッセージも確かに含まれており、どの説にも少なからず真理の断片は含まれていると私は思います。
私たちは人間なので、どうしても物事の断片しか見ることはできないからです。

神様の目には、聖書の言葉は矛盾なく、説明できるはずです。
ただし、人間側の知性では理解できないかもしれません。

まとめ

千年王国とは何か?
→クリスチャンの間で、3つの千年王国論があります。

  • A. 千年期前再臨説
    →メシア(イエス・キリスト)の再臨があって、地上に千年王国が設立される。
  • B. 千年期後再臨説
    →千年王国(神の国)が成就した後に、メシア(イエス・キリスト)は再臨される。
  • C. 無千年王国説
    →地上に文字通りの千年王国(神の国)は出現しない

次回は、A. 千年期前再臨説に沿って、千年王国の特徴についてもう少し詳しくお話しします。
ご視聴ありがとうございました。

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この記事を書いた人

牧師。ライフコーチ。
1985年札幌で生まれる。小樽商科大学を卒業後、三菱UFJ信託銀行で3年間勤務。関西聖書学院(KBI)で1年間聖書を学ぶ。CCC(Campus Crusade for Christ)短期宣教を通じて出会った、当時CCC専任スタッフのク・ソンリムと2012年に結婚。2013年から3年間ソウル・オリュン教会日本語礼拝部伝道師として仕えつつ、トーチ・トリニティ神学大学院英語コース修士課程(Torch Trinity Graduate University/Master of Divinity)を修める。2016年から3年間、母教会札幌キリスト福音館で牧師として仕えた後、2019年より、札幌ガーデンチャーチを開拓。

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